徒然草
 

■第二百十段

「喚子鳥よぶこどりは春のものなり」とばかり言ひて、如何いかなる鳥ともさだかに記せる物なし。或真言あるしんごん書の中に、喚子鳥鳴く時、招魂せうこんの法をば行ふ次第しだいあり。これはぬえなり。万葉集の長歌ながうたに、「霞かすみ立つ、長き春日はるひの」など続けたり。鵺鳥も喚子鳥のことざまにかよいてきこゆ。










松田史生氏が作成したテキストファイルを、岡島昭浩氏が手を加え、さらに江口聡氏がHTML化したファイルを以下のように変更しました。

変更箇所
  ルビ付きHTMLファイルに変換
  ルビをカタカナからひらがなに変更
  行間処理(行間180%)
  段落処理(形式段落ごとに<P>タグ追加、段落冒頭の一字下げを一行下げに変更)
変更作業:里実福太朗
変更終了:平成13年10月