徒然草
 

■第二百九段

人の田を論ずる者、うつたへに負けて、ねたさに、「その田をりて取れ」とて、人をつかはしけるに、づ、道すがらの田をさへ刈りもて行くを、「これは論じ給ふ所にあらず。いかにかくは」と言ひければ、刈る者ども、「その所とても刈るべき理なけれども、僻ことひがことせんとて罷 まかる者なれば、いづくをか刈らざらん」とぞ言ひける。

理、いとをかしかりけり。










松田史生氏が作成したテキストファイルを、岡島昭浩氏が手を加え、さらに江口聡氏がHTML化したファイルを以下のように変更しました。

変更箇所
  ルビ付きHTMLファイルに変換
  ルビをカタカナからひらがなに変更
  行間処理(行間180%)
  段落処理(形式段落ごとに<P>タグ追加、段落冒頭の一字下げを一行下げに変更)
変更作業:里実福太朗
変更終了:平成13年10月