徒然草
くらき人の、人を測りて、その智を知れりと思はん、さらに当るべからず。
拙き人の、碁打つことばかりにさとく、巧みなるは、賢き人の、この芸におろかなるを見て、己れが智に及ばずと定めて、万の道の匠、我が道を人の知らざるを見て、己れすぐれたりと思はんこと、大きなる誤りなるべし。文字の法師、暗証 の禅師、互ひに測りて、己れに如かずと思へる、共に当らず。
己れが境界にあらざるものをば、争ふべからず、是非すべからず。
松田史生氏が作成したテキストファイルを、岡島昭浩氏が手を加え、さらに江口聡氏がHTML化したファイルを以下のように変更しました。
変更箇所
ルビ付きHTMLファイルに変換
ルビをカタカナからひらがなに変更
行間処理(行間180%)
段落処理(形式段落ごとに<P>タグ追加、段落冒頭の一字下げを一行下げに変更)
変更作業:里実福太朗
変更終了:平成13年10月