徒然草
 

■第百九十三段

くらき人の、人をはかりて、そのを知れりと思はん、さらにあたるべからず。

つたなき人の、打つことばかりにさとく、たくみなるは、かしこき人の、この芸におろかなるを見て、おのれが智に及ばずと定めて、よろづの道のたくみ、我が道を人の知らざるを見て、己れすぐれたりと思はんこと、大きなる誤りなるべし。文字もんじの法師、暗証あんしよう禅師ぜんじたがひに測りて、己れにかずと思へる、共に あたらず。

己れが境界きやうがいにあらざるものをば、あらそふべからず、是非すべからず。










松田史生氏が作成したテキストファイルを、岡島昭浩氏が手を加え、さらに江口聡氏がHTML化したファイルを以下のように変更しました。

変更箇所
  ルビ付きHTMLファイルに変換
  ルビをカタカナからひらがなに変更
  行間処理(行間180%)
  段落処理(形式段落ごとに<P>タグ追加、段落冒頭の一字下げを一行下げに変更)
変更作業:里実福太朗
変更終了:平成13年10月