徒然草
　

■第百八十五段

城陸奥守泰盛じやうのむつのかみやすもりは、双さうなき馬乗りなりけり。馬を引き出いださせけるに、足を揃そろへて閾しきみをゆらりと越 こゆるを見ては、「これは勇いさめる馬なり」とて、鞍くらを置き換 かへさせけり。また、足を伸のべて閾に蹴当けあてぬれば、「これは鈍 にぶくして、過あやまちあるべし」とて、乗らざりけり。

道を知らざらん人、かばかり恐れなんや。

松田史生氏が作成したテキストファイルを、岡島昭浩氏が手を加え、さらに江口聡氏がＨＴＭＬ化したファイルを以下のように変更しました。

変更箇所
　　ルビ付きＨＴＭＬファイルに変換
　　ルビをカタカナからひらがなに変更
　　行間処理（行間１８０％）
　　段落処理（形式段落ごとに＜Ｐ＞タグ追加、段落冒頭の一字下げを一行下げに変更）
変更作業：里実福太朗
変更終了：平成１３年１０月