徒然草
 

■第百八十一段

「『降れ降れ粉雪こゆき、たんばの粉雪』といふこと、米搗よねつふるひたるに似たれば、粉雪といふ。『たんまれ粉雪』と言ふべきを、誤りて『たんばの』とは言ふなり。『垣や木のまたに』とうたふべし」と、或物あるもの知り申しき。

昔より言ひけることにや。鳥羽院幼をさなくおはしまして、雪の降るにかくおほせられけるよし、讃岐典侍さぬきのすけが日記に書きたり。










松田史生氏が作成したテキストファイルを、岡島昭浩氏が手を加え、さらに江口聡氏がHTML化したファイルを以下のように変更しました。

変更箇所
  ルビ付きHTMLファイルに変換
  ルビをカタカナからひらがなに変更
  行間処理(行間180%)
  段落処理(形式段落ごとに<P>タグ追加、段落冒頭の一字下げを一行下げに変更)
変更作業:里実福太朗
変更終了:平成13年10月