徒然草
 

■第百六十四段

世の人相逢あひあふ時、しばらくも黙止もだすることなし。必ず言葉あり。そのことを聞くに、多くは無益むやくだんなり。世間せけん浮説ふせつ、人の是非ぜひ自他じたのために、しつ多く、とく少し。

これを語る時、たがひの心に、無益むやくのことなりといふことを知らず。










松田史生氏が作成したテキストファイルを、岡島昭浩氏が手を加え、さらに江口聡氏がHTML化したファイルを以下のように変更しました。

変更箇所
  ルビ付きHTMLファイルに変換
  ルビをカタカナからひらがなに変更
  行間処理(行間180%)
  段落処理(形式段落ごとに<P>タグ追加、段落冒頭の一字下げを一行下げに変更)
変更作業:里実福太朗
変更終了:平成13年10月