徒然草
 

■第百六十二段

遍照寺へんぜうじ承仕法師じようじほふし、池の鳥を日来ひごろ飼ひつけて、だうの内まできて、戸一つ開けたれば、数も知らずこもりけるのち、己れも入りて、たてめて、 とらへつゝ殺しけるよそほひ、おどろおどろしくきこえけるを、草刈わらは聞きて、人に告げければ、村のをのこどもおこりて、入りて見るに、大雁おほかりどもふためき合へるなか、法師交まじりて、打ち伏せ、ぢ殺しければ、この法師をとらへて、ところより使庁しちやういだしたりけり。殺す所の鳥をくびけさせて、禁獄きんごくせられにけり。

基俊もととしの大納言、別当べつたうの時になん侍りける。










松田史生氏が作成したテキストファイルを、岡島昭浩氏が手を加え、さらに江口聡氏がHTML化したファイルを以下のように変更しました。

変更箇所
  ルビ付きHTMLファイルに変換
  ルビをカタカナからひらがなに変更
  行間処理(行間180%)
  段落処理(形式段落ごとに<P>タグ追加、段落冒頭の一字下げを一行下げに変更)
変更作業:里実福太朗
変更終了:平成13年10月