徒然草
遍照寺の承仕法師、池の鳥を日来飼ひつけて、堂の内まで餌を撒きて、戸一つ開けたれば、数も知らず入り籠りける後、己れも入りて、たて籠めて、捕へつゝ殺しけるよそほひ、おどろおどろしく聞えけるを、草刈 る童聞きて、人に告げければ、村の男どもおこりて、入りて見るに、大雁どもふためき合へる中に、法師交りて、打ち伏せ、捩ぢ殺しければ、この法師を捕へて、所より使庁へ出したりけり。殺す所の鳥を頸に懸けさせて、禁獄せられにけり。
基俊大納言、別当の時になん侍りける。
松田史生氏が作成したテキストファイルを、岡島昭浩氏が手を加え、さらに江口聡氏がHTML化したファイルを以下のように変更しました。
変更箇所
ルビ付きHTMLファイルに変換
ルビをカタカナからひらがなに変更
行間処理(行間180%)
段落処理(形式段落ごとに<P>タグ追加、段落冒頭の一字下げを一行下げに変更)
変更作業:里実福太朗
変更終了:平成13年10月