徒然草
 

■第百六十段

もん額懸がくかくるを「打つ」と言ふは、よからぬにや。勘解由小路二品禅門かでのこうぢのにほんぜんもんは、「額懸くる」とのたまひき。「見物けんぶつ桟敷さじき打つ」も、よからぬにや。「平張ひらばり 打つ」などは、常のことなり。「桟敷構かまふる」など言ふべし。「護摩ごまく」と言ふも、わろし。「修しゆする」「護摩ごまする」など言ふなり。「行法ぎやうぼふも、ほふの字をみて言ふ、わろし。濁にごりて言ふ」と、清閑寺僧正せいがんじのそうじやうおほせられき。常に言ふことに、かゝることのみ多し。










松田史生氏が作成したテキストファイルを、岡島昭浩氏が手を加え、さらに江口聡氏がHTML化したファイルを以下のように変更しました。

変更箇所
  ルビ付きHTMLファイルに変換
  ルビをカタカナからひらがなに変更
  行間処理(行間180%)
  段落処理(形式段落ごとに<P>タグ追加、段落冒頭の一字下げを一行下げに変更)
変更作業:里実福太朗
変更終了:平成13年10月