徒然草
 

■第百五十二段

西大寺静然上人さいだいじのじゃうねん腰屈かがまり、まゆ白く、まことに徳たけたる有様ありさまにて、内裏だいりへ参られたりけるを、西園寺内大臣殿さいをんじのないだいじんどの、「あなたふと気色 けしきや」とて、信仰しんがう気色きしよくありければ、資朝卿すけとものきやう、これを見て、「年のりたるにさうらふ」と申されけり。

後日ごにちに、尨犬むくいぬのあさましくいさらぼひて、げたるをかせて、「この気色けしきたふとく見えて候ふ」とて、内府だいふへ参らせられたりけるとぞ。










松田史生氏が作成したテキストファイルを、岡島昭浩氏が手を加え、さらに江口聡氏がHTML化したファイルを以下のように変更しました。

変更箇所
  ルビ付きHTMLファイルに変換
  ルビをカタカナからひらがなに変更
  行間処理(行間180%)
  段落処理(形式段落ごとに<P>タグ追加、段落冒頭の一字下げを一行下げに変更)
変更作業:里実福太朗
変更終了:平成13年10月