徒然草
 

■第百四十六段

明雲座主めいうんざす相者さうじやにあひ給ひて、「己れ、もし兵杖 ひやうぢやうなんやある」と尋ね給ひければ、相人さうにん、「まことに、その相おはします」と申す。「如何なる相ぞ」と尋ね給ひければ、「傷害しやうがいの恐れおはしますまじき御身おんみにて、かりにも、かくおぼし寄りて、尋ね給ふ、これ、すでに、そのあやぶみの兆 きざしなり」と申しけり。

はたして、矢に当りて失せ給ひにけり。










松田史生氏が作成したテキストファイルを、岡島昭浩氏が手を加え、さらに江口聡氏がHTML化したファイルを以下のように変更しました。

変更箇所
  ルビ付きHTMLファイルに変換
  ルビをカタカナからひらがなに変更
  行間処理(行間180%)
  段落処理(形式段落ごとに<P>タグ追加、段落冒頭の一字下げを一行下げに変更)
変更作業:里実福太朗
変更終了:平成13年10月