徒然草
御随身秦重躬、北面の下野入道信願を、「落馬の相ある人なり。よくよく慎み給へ」と言ひけるを、いと真しからず思ひけるに、信願、馬より落ちて死ににけり。道に長じぬる一言、神の如しと人思へり。
さて、「如何なる相ぞ」と人の問ひければ、「極めて桃尻にして、沛艾の馬を好みしかば、この相を負せ侍りき。何時かは申し誤りたる」とぞ言ひける。
松田史生氏が作成したテキストファイルを、岡島昭浩氏が手を加え、さらに江口聡氏がHTML化したファイルを以下のように変更しました。
変更箇所
ルビ付きHTMLファイルに変換
ルビをカタカナからひらがなに変更
行間処理(行間180%)
段落処理(形式段落ごとに<P>タグ追加、段落冒頭の一字下げを一行下げに変更)
変更作業:里実福太朗
変更終了:平成13年10月