徒然草
 

■第百三十三段

夜の御殿おとど、東御枕みまくらなり。大方おほかた、東を枕として陽気やうきを受くべき故に、孔子も東首とうしゆし給へり。寝殿しんでんのしつらひ、あるひは南枕、つねのことなり。白河院しらかはの は、北首ほくしゆ御寝ぎよしんなりけり。「北はむことなり。また、伊勢いせは南なり。太神宮だいじんぐう御方おんかた御跡おんあとにせさせ給ふこといかゞ」と、人申しけり。たゞし、太神宮の遥拝えうはい は、たうみに向はせ給ふ。南にはあらず。










松田史生氏が作成したテキストファイルを、岡島昭浩氏が手を加え、さらに江口聡氏がHTML化したファイルを以下のように変更しました。

変更箇所
  ルビ付きHTMLファイルに変換
  ルビをカタカナからひらがなに変更
  行間処理(行間180%)
  段落処理(形式段落ごとに<P>タグ追加、段落冒頭の一字下げを一行下げに変更)
変更作業:里実福太朗
変更終了:平成13年10月