徒然草
 

■第百十六段

寺院のがう、さらぬよろづの物にも、名を付くること、昔の人は、少しも求めず、たゞ、ありのまゝに、やすく付けけるなり。このころは、深く案じ、才覚さいかくをあらはさんとしたるやうに聞ゆる、いとむつかし。人の名も、目慣れぬ文字を付かんとする、えきなきことなり。

何ことも、珍しきことを求め、異説いせつを好むは、浅才せんざいの人の必ずあることなりとぞ。










松田史生氏が作成したテキストファイルを、岡島昭浩氏が手を加え、さらに江口聡氏がHTML化したファイルを以下のように変更しました。

変更箇所
  ルビ付きHTMLファイルに変換
  ルビをカタカナからひらがなに変更
  行間処理(行間180%)
  段落処理(形式段落ごとに<P>タグ追加、段落冒頭の一字下げを一行下げに変更)
変更作業:里実福太朗
変更終了:平成13年10月