徒然草
北の屋蔭に消え残りたる雪の、いたう凍りたるに、さし寄せたる車の轅も、霜いたくきらめきて、有明の月、さやかなれども、隈なくはあらぬに、人離れなる御堂の廊に、なみなみにはあらずと見ゆる男、女となげしに尻かけて、物語するさまこそ、何ことかあらん、尽きすまじけれ。
かぶし・かたちなどいとよしと見えて、えもいはぬ匂ひのさと薫りたるこそ、をかしけれ。けはひなど、はつれつれ聞こえたるも、ゆかし。
松田史生氏が作成したテキストファイルを、岡島昭浩氏が手を加え、さらに江口聡氏がHTML化したファイルを以下のように変更しました。
変更箇所
ルビ付きHTMLファイルに変換
ルビをカタカナからひらがなに変更
行間処理(行間180%)
段落処理(形式段落ごとに<P>タグ追加、段落冒頭の一字下げを一行下げに変更)
変更作業:里実福太朗
変更終了:平成13年10月