徒然草
 

■第九十四段

常磐井相国ときはヰのしやうこく出仕しゆつしし給ひけるに、勅書ちよくしよを持ちたる北面ほくめんあひ奉りて、馬より下りたりけるを、相国、後に、「北面某なにがしは、勅書を持ちながら下馬げばし侍りし者なり。かほどの者、いかでか、君に仕うまつり候ふべき」と申されければ、北面を放たれにけり。

勅書を、馬の上ながら、ささげて見せ奉るべし、下るべからずとぞ。










松田史生氏が作成したテキストファイルを、岡島昭浩氏が手を加え、さらに江口聡氏がHTML化したファイルを以下のように変更しました。

変更箇所
  ルビ付きHTMLファイルに変換
  ルビをカタカナからひらがなに変更
  行間処理(行間180%)
  段落処理(形式段落ごとに<P>タグ追加、段落冒頭の一字下げを一行下げに変更)
変更作業:里実福太朗
変更終了:平成13年10月