徒然草
 

■第八十一段

屏風びやうぶ・障子しやうじなどの、絵も文字もかたくななる筆様ふでやうして書きたるが、見にくきよりも、宿やどあるじのつたなく覚ゆるなり。

大方、持てる調度てうどにても、心劣りせらるゝことはありぬべし。さのみよき物を持つべしとにもあらず。損ぜざらんためとて、しななく、見にくきさまにしなし、珍しからんとて、用なきことどもし添へ、わづらはしく好みなせるをいふなり。古めかしきやうにて、いたくことことしからず、つひえもなくて、物がらのよきがよきなり。










松田史生氏が作成したテキストファイルを、岡島昭浩氏が手を加え、さらに江口聡氏がHTML化したファイルを以下のように変更しました。

変更箇所
  ルビ付きHTMLファイルに変換
  ルビをカタカナからひらがなに変更
  行間処理(行間180%)
  段落処理(形式段落ごとに<P>タグ追加、段落冒頭の一字下げを一行下げに変更)
変更作業:里実福太朗
変更終了:平成13年10月