徒然草
 

■第七十段

元応げんおう清暑堂せいしよだう御遊ぎよいうに、玄上げんじやうは失せにし比、菊亭大臣きくていのおとど牧馬ぼくばたんじ給ひけるに、座にきて、ぢゆうを探られたりければ、一つ落ちにけり。御懐おんふところにそくひを持ち給ひたるにて付けられにければ、神供じんぐの参る程によくて、ことことゆヱなかりけり。

いかなる意趣いしゆかありけん。物見ける衣被きぬかづきの、寄りて、放ちて、もとのやうに置きたりけるとぞ。










松田史生氏が作成したテキストファイルを、岡島昭浩氏が手を加え、さらに江口聡氏がHTML化したファイルを以下のように変更しました。

変更箇所
  ルビ付きHTMLファイルに変換
  ルビをカタカナからひらがなに変更
  行間処理(行間180%)
  段落処理(形式段落ごとに<P>タグ追加、段落冒頭の一字下げを一行下げに変更)
変更作業:里実福太朗
変更終了:平成13年10月