徒然草

■第四十五段

公世きんよの二位のせうとに、良覚僧正りやうがくそうじやうと聞えしは、極めて腹あしき人なりけり。

ぼうかたはらに、大きなるのありければ、人、「榎木えのきの僧正」とぞ言ひける。この名しかるべからずとて、かの木をられにけり。その根のありければ、「きりくひの僧正」と言ひけり。いよいよ腹立ちて、きりくひを掘り捨てたりければ、その跡大きなる堀にてありければ、「堀池ほりいけの僧正」とぞ言ひける。










松田史生氏が作成したテキストファイルを、岡島昭浩氏が手を加え、さらに江口聡氏がHTML化したファイルを以下のように変更しました。

変更箇所
  ルビ付きHTMLファイルに変換
  ルビをカタカナからひらがなに変更
  行間処理(行間180%)
  段落処理(形式段落ごとに<P>タグ追加、段落冒頭の一字下げを一行下げに変更)
変更作業:里実福太朗
変更終了:平成13年10月