徒然草

■第三十九段

或人あるひと法然ほふねん上人に、「念仏の時、ねぶりにをかされて、ぎやうを怠り侍ること、いかがして、このさはりをめ侍らん」と申しければ、「目のめたらんほど、念仏し給へ」と答へられたりける、いとたふとかりけり。

また、「往生わうじゃうは、一定いちじやうと思へば一定、不定ふじやうと思へば不定なり」と言はれけり。これも尊し。

また、「疑ひながらも、念仏すれば、往生す」とも言はれけり。これもまた尊し。










松田史生氏が作成したテキストファイルを、岡島昭浩氏が手を加え、さらに江口聡氏がHTML化したファイルを以下のように変更しました。

変更箇所
  ルビ付きHTMLファイルに変換
  ルビをカタカナからひらがなに変更
  行間処理(行間180%)
  段落処理(形式段落ごとに<P>タグ追加、段落冒頭の一字下げを一行下げに変更)
変更作業:里実福太朗
変更終了:平成13年10月