徒然草

■第三十三段

今の内裏だいり作りいだされて、有職いうしよくの人々に見せられけるに、いづくもなんなしとて、すで遷幸せんかうの日近く成りけるに、玄輝門院げんきもんゐんの御覧じて、「閑院殿かんゐんどの櫛形くしがたの穴は、まろく、縁もなくてぞありし」と仰せられける、いみじかりけり。

これは、えふの入りて、木にて縁をしたりければ、あやまりにて、なほされにけり。










松田史生氏が作成したテキストファイルを、岡島昭浩氏が手を加え、さらに江口聡氏がHTML化したファイルを以下のように変更しました。

変更箇所
  ルビ付きHTMLファイルに変換
  ルビをカタカナからひらがなに変更
  行間処理(行間180%)
  段落処理(形式段落ごとに<P>タグ追加、段落冒頭の一字下げを一行下げに変更)
変更作業:里実福太朗
変更終了:平成13年10月