徒然草

■第三十一段

雪のおもしろう降りたりしあした、人のがり言ふべきことありて、ふみをやるとて、雪のこと何とも言はざりし返ことかへりことに、「この雪いかが見ると一筆ひとふでのたまはせぬほどの、ひがひがしからん人の仰せらるること、聞きるべきかは。かへがへす口をしき御心みこころなり」と言ひたりしこそ、をかしかりしか。

今は亡き人なれば、かばかりのことも忘れがたし。










松田史生氏が作成したテキストファイルを、岡島昭浩氏が手を加え、さらに江口聡氏がHTML化したファイルを以下のように変更しました。

変更箇所
  ルビ付きHTMLファイルに変換
  ルビをカタカナからひらがなに変更
  行間処理(行間180%)
  段落処理(形式段落ごとに<P>タグ追加、段落冒頭の一字下げを一行下げに変更)
変更作業:里実福太朗
変更終了:平成13年10月