徒然草

■第八段

世の人の心惑はすこと、色欲しきよくにはかず。人の心は愚かなるものかな。

にほひなどは仮のものなるに、しばらく衣裳いしやう薫物たきもの すと知りながら、えならぬ匂ひには、必ず心ときめきするものなり。九米くめの仙人の、物洗ふ女のはぎの白きを見て、つうを失ひけんは、まことに、手足・はだへなどのきよらに、肥え、あぶらづきたらんは、外の色ならねば、さもあらんかし。












松田史生氏が作成したテキストファイルを、岡島昭浩氏が手を加え、さらに江口聡氏がHTML化したファイルを以下のように変更しました。

変更箇所
  ルビ付きHTMLファイルに変換
  ルビをカタカナからひらがなに変更
  行間処理(行間180%)
  段落処理(形式段落ごとに<P>タグ追加、段落冒頭の一字下げを一行下げに変更)
変更作業:里実福太朗
変更終了:平成13年10月