徒然草
わが身のやんごとなからんにも、まして、数ならざらんにも、子といふものなくてありなん。
前中書王・九条大政大臣・花園左大臣、みな、族絶えんことを願ひ給へり。染殿大臣も、「子孫おはせぬぞよく侍る。末のおくれ給へるは、わろきことなり」とぞ、世継の翁の物語には言へる。聖徳太子の、御墓をかねて築かせ給ひける時も、「ここを切れ。かしこを断て。子孫あらせじと思ふなり」と侍りけるとかや。
松田史生氏が作成したテキストファイルを、岡島昭浩氏が手を加え、さらに江口聡氏がHTML化したファイルを以下のように変更しました。
変更箇所
ルビ付きHTMLファイルに変換
ルビをカタカナからひらがなに変更
行間処理(行間180%)
段落処理(形式段落ごとに<P>タグ追加、段落冒頭の一字下げを一行下げに変更)
変更作業:里実福太朗
変更終了:平成13年10月