徒然草

■第六段

わが身のやんごとなからんにも、まして、数ならざらんにも、子といふものなくてありなん。

前中書王さきのちゆうしよわう九条大政大臣くでうのおほきおとど花園はなぞのの左大臣、みな、ぞう絶えんことを願ひ給へり。染殿大臣 そめどののおとども、「子孫おはせぬぞよくはんべる。末のおくれ給へるは、わろきことなり」とぞ、世継のおきなの物語には言へる。聖徳太子の、御墓みはかをかねてかせ給ひける時も、「ここを切れ。かしこを断て。子孫あらせじと思ふなり」と侍りけるとかや。












松田史生氏が作成したテキストファイルを、岡島昭浩氏が手を加え、さらに江口聡氏がHTML化したファイルを以下のように変更しました。

変更箇所
  ルビ付きHTMLファイルに変換
  ルビをカタカナからひらがなに変更
  行間処理(行間180%)
  段落処理(形式段落ごとに<P>タグ追加、段落冒頭の一字下げを一行下げに変更)
変更作業:里実福太朗
変更終了:平成13年10月