徒然草
いにしへのひじりの御代の政をも忘れ、民の愁、国のそこなはるるをも知らず、万にきよらを尽していみじと思ひ、所せきさましたる人こそ、うたて、思ふところなく見ゆれ。
「衣冠より馬・車にいたるまで、あるにしたがひて用ゐよ。美麗を求むることなかれ」とぞ、九条殿の遺誡にも侍る。順徳院の、禁中のことども書かせ給へるにも、「おほやけの奉り物は、おろそかなるをもってよしとす」とこそ侍れ。
松田史生氏が作成したテキストファイルを、岡島昭浩氏が手を加え、さらに江口聡氏がHTML化したファイルを以下のように変更しました。
変更箇所
ルビ付きHTMLファイルに変換
ルビをカタカナからひらがなに変更
行間処理(行間180%)
段落処理(形式段落ごとに<P>タグ追加、段落冒頭の一字下げを一行下げに変更)
変更作業:里実福太朗
変更終了:平成13年10月