徒然草

■第二段

いにしへのひじりの御代みよまつりごとをも忘れ、民のうれへ、国のそこなはるるをも知らず、よろづにきよらを尽していみじと思ひ、所せきさましたる人こそ、うたて、思ふところなく見ゆれ。

「衣冠いくわんより馬・車にいたるまで、あるにしたがひて用ゐよ。美麗を求むることなかれ」とぞ、九条くでう殿の遺誡ゆいかいにもはんべる。順徳院の、禁中きんちゅうのことども書かせ給へるにも、「おほやけのたてまつり物は、おろそかなるをもってよしとす」とこそ侍れ。










松田史生氏が作成したテキストファイルを、岡島昭浩氏が手を加え、さらに江口聡氏がHTML化したファイルを以下のように変更しました。

変更箇所
  ルビ付きHTMLファイルに変換
  ルビをカタカナからひらがなに変更
  行間処理(行間180%)
  段落処理(形式段落ごとに<P>タグ追加、段落冒頭の一字下げを一行下げに変更)
変更作業:里実福太朗
変更終了:平成13年10月