老梟月に叫ぶ圖
山ひくゝいこふつきかげ
あをざめて呼吸絶ゆげなり。
千丈の椋の老樹
みきくろく秋の色濃し。
かゞやくは宿鳥の魂か
血をおびてまなこきらめく。
風啼いて枝さだまらず、
なみを打つうぶ毛たかひく。
かなこぶし岩をもくだけ、(注:白ごま点)
なにぞそのねぐらの小鳥。
おくやまのゆめもしばらく、(注:白ごま点)
生き死にはわが指にあり。
■このファイルについて
標題:老梟月に叫ぶ圖
著者:山田美妙
本文:「以良都女」 第三十二号 明治22年11月22日
表記:原文を尊重するが、読みやすさを考慮して、以下の方法を用いる。
○漢字は原文のものが利用できればそれを用いた。
○いわゆる変体仮名は、現行の仮名に変更した。
○本文の仮名づかいは、原文通りとした。
○「白ごま点」は読点に変更した。
入力:今井安貴夫
ファイル作成:里実工房
公開:2004年2月15日